第二分科会は「21世紀の地域づくり- Part2」として、3つの報告が行われた。
亀山氏には、9・11意見以降の沖縄の基地問題の現状と課題を、資料・スライドを使ってわかりやすく報告していただいた。まず、米軍基地が一般の"迷惑施設"と異なる点として、憲法問題がつきまとうこと、軍事機密という壁があること、地位協定の壁があることを指摘された。続いて,現在焦点となっている普天間基地と那覇軍港の代替施設の現状や在沖米軍の性格の変化などについて報告があった。今回は、憲法・安全保障といった大上段の問題ではなく、住民の日常生活や環境問題といったより身近であり、それゆえ複雑な問題に焦点を絞った具体的なお話であったが,環境問題の部分が時間不足になってしまい残念であった。また、劣化ウラン弾問題などの新しい情報なども提供していただいた。
梅野正信・采女博文両氏には、判決文を教材として活用する研究の一環として、ハンセン病訴訟の教材化について報告していただいた。また、中学校教員の山元研二先生(現在、鹿児島大学大学院生)には、その教育実践を具体的に報告していただき、判決文が原告の心情や事実経過を正確に理解するための大変よい資料であることがわかった。鹿児島県には2つの療養所があるのに、多くの学生たちはハンセン病問題について無知である。今後、教材用の映像資料の作成やハンセン病資料館(室)の設置に努力したいとのことであった。
内田伸子氏は、人工島問題に一貫して取り組んできた経験に基づいて、人工島問題の現状と展望について語っていただいた。まず,6日には鹿児島地裁で,人工島差し止め訴訟の現地検証が2003年2月に行われることが決まったところであるとの報告があった。当初7万トン級の大型観光船ふ頭であったものが、予算獲得のために3万トン級の貨客兼用に変わったことが「似て非なるもの」の意味だが、その他にも数多くの計画変更が住民の意思を聞くことなく行われてきたこと、しかし「経済効果」は見直されていないことを指摘された。とくに、人工島問題での住民投票を県および市の二つで実施できたことの意義や県および市当局の情報公開に対する意識の欠如についての指摘が印象に残った。
いずれの報告も充実した内容であったにもかかわらず、こちらの準備不足で参加者が少数であったのは非常に残念で、報告者に申し訳ない気持ちで一杯であった。しかし、参加者からは真剣な質問が出され報告者との間に熱心な討論が交わされたので分科会自体としての意義はそれなりに大きかったと思われる。(木村・三仲)